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欧州古着の蒐集と販売についての雑感

1955 FRENCH NAVY RAMIE-LINEN SAILOR SHIRT / ヴィンテージ 50s フランス軍 ラミー リネン セーラー シャツ ジャケット

 

1950年代のフランス軍のセーラージャケットです。
支給年のスタンプは1955年、素材は麻のお品となります。

 

わたしはヴィンテージのなかでも麻の素材の古いものがとにかく好きなので、このフランス軍のセーラーも大好物です。中高年が一般の社会でセーラー服が好きだと公言したらそこそこにヤバめな案件となってしまいますがミリタリーであれば話は別、むしろ男のなかの男の服だぞと高らかに喧伝してまわりたいものです。国外の古着好きにも人気が高い、かわいらしさより男らしさに定評があるマスキュリンな勇ましい服です。

 

1930年代頃の主にブラウンがかったショールカラーのセーラーも雰囲気がよくディティールもおもしろくて大好きですが、50年代前後のこの淡い色のものもやはりよいとおもいます。ラミーにリネンが混紡されたざくっとした風合いのよい麻で、洗いざらしで着るとより立体感が出る素晴らしい生地です。

ところで、リネンよりも繊維が太くて粗いために丈夫で長持ちするラミーですが、現在はこれを主素材とする衣服はほぼ淘汰されてしまったものの、近世になって木綿が普及していく以前の日本列島でもっとも親しまれていた素材は苧麻=ラミーでした。すなわち、かつて日本に住んだ多くの人びとにとって、もっとも重要であり馴染みのある生地がラミーであったということです (こうした話題は柳田国男による古典『木綿以前の事』、それを受けた永原慶二『新・木綿以前のこと』に詳しいです)。いまとなっては日常で手にする機会がきわめて乏しいラミーですが、こういったフランスのヴィンテージを通してかつての日本の衣服を偲ぶことができるというのもおもしろいものです。そしてとにかく麻はよいです。

着用者は170cm / 62kgです。
前述のようにセーラーは本来的に男のなかの男の服ながら、かわいらしさをより抑えるために裏返して着ています。やはりカラーのラインには多少のJKみがあるのでそれを隠す、古着好きにはよく知られた定番の着方です。M47然り、この時代のフランス軍は縫製がよいので裏返してもまったく違和感はありません。内側にある首元のタグは襟ですっぽりと隠れ、反対に胸の二つの内ポケットはパッチポケットとして機能するため実に自然にリバーシブルとして着られます。

この「B3」のサイズはわたしでぴったり、日本のMからL程度の好サイズです。船乗りの服なので着丈に対して身幅がゆったりとしていてとても楽です。そんなに頻繁には出てきませんがまだ価格は高騰していないのでまさしくいまが狙いどき、春夏に最高の服だとおもいます。

 

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