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欧州古着の蒐集と販売についての雑感

80s-90s TORI RICHARD HAWAIIAN SHIRT / ヴィンテージ トリリチャード アロハシャツ

 

TORI RICHARD のアロハシャツです。

もう夏の終りなので時季外れの感もありますが、北海道もまだまだ暑く、九月に入ってなお真夏日がつづくとのことです。わたしが札幌に生まれてから近郊でこれほど暑い夏は経験がなく、エアコンとともに半袖やショーツといった涼しげな衣服もついに必需品となりました。このところはTシャツもよく着るようになりましたがもともとは襟のついたシャツが好きで、とくにアロハには北国生まれとしてなんとなくの憧れのような感情もあり、黒系統の色の落ち着いたものを中心にストックしています。なかでも TORI RICHARD は気に入っているブランドです。

 

まずはこちら、私物ではないのですがとても気に入っている一枚です。
羽のように舞うバナナリーフの柄が印象的です。そして生地が非常によく、コットン100%ながら薄手かつ高密度でシルクにも似た手触りに仕上がっています。TORI RICHARD にはオープンカラーではなくノーマルのシャツカラーのものが多く、こちらもそうで色味や生地感と相俟って上品な雰囲気を感じます。ボタンもシェルです。

 

ついでこちら、いろいろなリーフが組み合わせられたボタニカルな一枚です。
フルオープンではなくプルオーバーでポロシャツのようなつくりになっています。この柄は通常の開襟だとごてごてと大味な印象になりかねませんが、プルオーバーで黒いリブが襟と袖についていることによって絶妙に中和されているようにおもいます。これだけ派手な柄にもかかわらず最終的にはバランスのよいデザインに落ち着いている点がなんともおもしろいです。変わり種ながらとてもよいアロハです。

 

TORI RICHARD と云えば丁寧な柄合わせで知られていますが、丁寧と云うにも程がある強いこだわりを感じます。こちらの二枚もちょっとみただけではポケットの有無がわからないくらいきっちりと柄が重ねられています。別布にはみえない、擬態しているかのような自然さです。

やりすぎにもおもえるこだわりですが、このこだわりが TORI RICHARD の TORI RICHARD らしさを支えているのだとおもいます。ハイエンドで高級志向のリゾートシャツが主力であるため、1956年創業の歴史ある老舗のアロハブランドながら王道のハワイアンっぽくはありません。Made in Hawaii であってもオーソドックスなアロハとはどこか異なる、そこはかとなく上品で洗練された雰囲気があります。根幹は欧米人が考えるアロハであり、だからこそタウンユースにもとくに適しているのかもしれません。本国アメリカやヨーロッパの香りが漂う、クレオールなアロハ、という感じがします。