LE MONT ST MICHEL のブラックモールスキンジャケットです。
先の記事が変わり種のモールスキンだったのに対してこちらは王道、正統なモールスキンと云えましょうか。プリントタグの形やポケットのラウンドしたステッチなどから1950年代のはじめのお品かとおもいます。このあたりの年代までは細部に個性があってとくに趣きが深いです。
墨汁のような、滲んだインクのような、淡い濃淡のある美しい黒です。自然に褪色しつつも色はしっかり残っています。生地にも張りがあってダメージは少ない美品です。袖口や前立てに擦り切れがあるくらいで破れや穴はありません。状態がなかなかによい一枚です。
モールスキン、それもブラックのカバーオール型のものはフレンチワークの象徴的な服であり、とりわけフレンチワークの代名詞である LE MONT ST MICHEL のものはいまもって不動の人気を誇ります。絶対数も多くはないため、十年前と較べると相場が三倍以上に跳ね上がりました。こんなに遠い存在になるとはおもいもかけなかったのでひと昔前にストックしておけばよかったと悔いてしまいます。
着用者は170cm / 64kgです。
何十年も着つづけたいとおもえる流行り廃りのない普遍的なデザインと、それを可能にし得る丈夫な生地。丁寧に愛用すれば一生ものにできる服です。わたしは物持ちがよい方で、気に入った服は短くても十年から二十年は大事に着る場合が多いので、こういうしっかりとしたつくりのものは安心感があってほんとうに頼もしいです。
飾るにも着るにもよい、素晴らしい一枚です。
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